国内の切り花は、輸送途中の枯れや萎れによって約15 %がロスになると言われます。
物流 2024 年問題で輸送時間が延びたいま、品質を守るカギは「温度」と「湿度」を同時にコントロールすることです。以下では、農水省ガイドラインと先進事例を踏まえながら、実践ポイントをやさしく整理します。
切り花に推奨される温度帯
- 出荷〜市場 : 2–6 ℃
- 小売〜エンドユーザー : 7–10 ℃
この温度域を外れると代謝が活発になり、花が短期間で開花・劣化してしまいます。
湿度 90 %が必要な理由
切り花は体内の水分が 20 %失われると萎れ始めます。
低温に加えて相対湿度を 90 %前後に保つと蒸散を抑えられ、結果として鮮度が 8 日間ほど延長できます。
- ポイント
- コンテナ内部に高吸湿シートを敷いて湿度をキープ
- 通気スリット付きの容器で結露を逃がし、カビ発生を防止
市場の成功事例
愛知県の豊明花き市場では、流通棟全体を 5 ℃で一括管理し、温度管理車両で市場から小売店までを一気通貨。ロス率を 10 %未満に抑えています。
輸送容器の選び方
- 断熱性能(R 値 3.5 以上)
長距離でも温度を安定させる基本。
- 通気スリット
側面に 1 cm 幅を 4 列配置すると結露しにくい。
- 吸湿シート
高分子吸湿剤+不織布タイプが扱いやすい。
- 蓄冷材
0 ℃帯タイプを、花重量の 20–30 % 相当量入れると低温障害を避けつつ冷却可能。
温湿度ロガーで可視化しよう
15 分間隔で温湿度を記録できるロガーを箱内に入れておくと、温度逸脱が起こった場所と時間が一目で分かります。データを CSV 出力して KPI として追いかけた事例では、返品率を 50 %削減できました。
よくある質問
- Q:花用の蓄冷材は氷点下タイプでもいい?
A: 切り花は凍結に弱いので 0 ℃帯タイプを推奨します。
- Q:バケツ水輸送(湿式)とドライ輸送のどちらが良い?
A: 長距離ならドライ輸送+高湿度管理の方が振動・水漏れリスクが低く主流です。
- Q:輸送中の温度逸脱を通知する方法は?
A: GSM 通信機能付きロガーを使うと、温度が上限を超えた時点でスマホへアラートを送れます。
まとめ
切り花の鮮度を守るには「低温」と「高湿度」を両立できる梱包が不可欠です。
多孔質断熱ボックスと 0 ℃蓄冷材の組み合わせなら、実証試験で 8 日間の鮮度保持を達成。
ロス削減と顧客満足向上を同時に狙えます。自社の輸送条件でテストしてみたい方は、ぜひ CSS までご相談ください。