保冷容器や蓄冷剤を見直したいけれど「本当に温度が保てているか」がわからないまま、カンや経験で運用しているケースは少なくありません。
そのモヤモヤを解消してくれるのが、温度ロガーを使った「実運用に近い保冷試験」です。
グラフという「証拠」が手元にあれば、容器の入れ替えや蓄冷剤の変更も、感覚ではなくデータで判断できるようになります。
この記事では、コールドチェーンの現場で実施される温度ロガー試験を前提に、
- なぜ温度ロガーによる検証が必要なのか
- 保冷試験を設計するときの基本ステップ
- グラフのどこを見れば「効いている」と言えるのか
- 現場でありがちなNG試験と、その改善ポイント
を整理していきます。
なぜ温度ロガーによる検証が必要なのか
カタログや仕様書には、断熱厚や蓄冷剤の温度帯などの情報が記載されています。
しかし、
- 実際にどれくらいの時間、目標温度帯を維持できるのか
- 夏場と冬場で温度カーブがどれほど変わるのか
- 積載率や開閉頻度によって温度ムラがどの程度出るのか
といった「現場そのものの挙動」は数字だけでは見えてきません。
温度ロガーを使えば、輸送や保管の温度変化を時間軸のグラフとして可視化できます。
これにより、
- どのタイミングで温度が上がりやすいのか(積み込み時、仕分け時、配達時など)
- 蓄冷剤の数量や配置が適正か
- 容器をランクアップするべきか、蓄冷剤追加で解決するのか
といった判断をデータで行えるようになります。
温度ロガーを使った保冷試験の基本ステップ
ここでは、冷蔵品を保冷ボックスで数時間輸送するシーンを例に、試験の流れを整理します。
2-1. 試験の目的と条件を整理する
最初に明確にしたいのは以下のポイントです。
- 対象商品の種類(食品、医薬品、生花、惣菜など)
- 目標温度帯(冷蔵・冷凍 など)
- 試験対象とする時間と環境温度
例:冷蔵輸送で8時間後、常温で5時間保管など - 外気温条件(想定季節・屋外/車内温度の目安)
- 積載率(内部の空きスペース)
- 開閉回数(積み込み、仕分け、配達ポイントごと)
これらが曖昧だと、あとから他案と公平に比較できなくなります。
2-2. 温度ロガーの配置を決める
ロガーの設置位置は結果に大きく影響します。代表例は下記の通りです。
- 容器の中心
- 容器の上部・底部コーナー付近(外気温が侵入しやすいポイント)
- 扉側・開口部付近(開閉の影響を受けやすい)
- 底部付近(蓄冷剤を上部のみ配置した場合の温度伝達の確認)
温度ムラが課題の場合は、必要分の複数台を使い、位置による違いを比較することが有効です。
2-3. 実運用に近い形で試験する
- 実運用と同じ積載率で詰める
- 蓄冷剤は同じ温度帯・数量・配置でセット
- 積み込みや仕分けの作業時間も再現
- 試験中に予定通りのタイミングで開閉を行う
ここで重要なのは「きれいなグラフ」を作るために条件を甘くしないこと。
少し厳しい条件で試すことで、安全側の判断ができます。
グラフのどこを見る?温度データの読み方
3-1. 立ち上がりの早さと最高温度
- 開閉直後などにどれだけ温度が跳ね上がるか
- そのピークが一時的か、高止まりが続くか
3-2. 全体の平均温度と上昇傾向
- 時間経過で徐々に上がっていかないか
- 一度上がった温度が戻るかどうか
3-3. 位置による温度差(複数ロガーの場合)
- 上部や扉付近だけ温度が高くならないか
- 中央と端で温度カーブが大きく違わないか
温度ムラが大きい場合は、蓄冷剤配置や仕切りの追加で改善できます。
現場でありがちなNG試験と改善ポイント
4-1. 実運用より甘い条件で評価してしまう
積載量を減らしたり開閉を少なく設定しがち。
→ 現場担当と「最も厳しい状況」を共有し、それを試験に反映する。
4-2. 条件変更の記録が残っていない
変更点の記録が曖昧だと何が効いたのかわからなくなる。
試験ごとに、
- 使用した容器の種類や仕様
- 蓄冷剤の温度帯・数量・配置
- 積載率と開閉タイミング
をチェックシートで残すだけで比較しやすくなります。
4-3. グラフを見ただけで終わっている
データを見るだけでは改善に結びつきません。
- 容器ランクアップか
- 蓄冷剤(数量/温度帯)の見直しか
- 開閉や作業手順の改善なのか
「次の一手」に落とし込むことが重要です。
シーエスエスが支援できること
シーエスエスでは、製品設計だけでなく「実運用を想定した温度試験」の設計から支援しています。
- 現場条件のヒアリング(時間・外気温・開閉頻度・積載率など)
- 温度ロガーを用いた試験計画の立案
- 容器や蓄冷剤構成を変えたABテスト
- 温度グラフの解釈と改善案の提示
「温度ロガーを使った保冷試験をやってみたい」
「今の容器が本当に最適か確かめたい」
という場合は、お気軽にご相談ください。
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