通常のオリコンには、保冷性能はほとんど無いようなもの。
(サンコーさんが出されているような、オリコンに断熱材を組み込んだ”コールドオリコン”のようなものなら別ですが)
そこで、通常はオリコン内にはめ込むタイプの袋(内袋)を利用します。
すでに通常のオリコンを運用されていて、かつ、今からコールドオリコンを揃えるべきかどうか悩んでいる方は、内袋の導入をオススメします。
なぜなら、保冷内袋の方がコストパフォーマンスと保冷性能の両面で優れているからです。
オリコン用の保冷内袋
弊社では、使用環境等に合わせてハードタイプかソフトタイプ、どちらかの内袋も製造いたします。
イメージとしては、ソフトタイプは簡易保冷、ハードタイプは高性能保冷です。
※オリコンでなく通常のボックスでも同じ認識
以下では、それぞれの外観と特徴を解説します。
(基本的にオーダーメイド品のため、あくまでサンプルとなります。)
ハードタイプ
オリコン内袋ハードタイプは、XPS断熱材を使用した厚い素材で、ソフトタイプよりも高い保冷性能を有します。
蓄冷剤の使い方にもよりますが、長時間の冷凍品輸送や、暑熱環境下での留置きでも使用できます。
XRP断熱材とは
「押出発泡ポリスチレンフォーム」と言い、ポリスチレンを加熱融解し、発泡剤などを混ぜて押出成形することで製造される発泡プラスチック系の断熱材
https://dannetsuzai.jp/column/72/ より
ソフトタイプ
オリコン内袋ソフトタイプは、比較的薄手で軽いという特徴があります。
そのため、同じサイズのオリコンであればソフトタイプの方が多くの物品を収納できます。
ただし、通常発泡スチロール20㎜厚と同じ位の性能ですので、用途(保冷対象物)や保冷時間によっては性能面では要求性能に対応出来ない場合もあります。
長時間の使用、もしくは冷凍品などの場合、【あくまでオリコンを使用したい】のであれば、ソフトタイプ内袋ではなくハードタイプ内袋に置き換えた方がメリットは大きいでしょう。
でも、ハードタイプのオリコン内袋よりも…
なお、ここからが重要。
ハードタイプのオリコン内袋にもデメリットがあるので、オリコンサイズのハードタイプ保冷ボックスを導入するのもアリです。
と言うのも、オリコンの中にハードタイプを付ける場合、作業性はオリコンのまま高性能化が可能ではありますが、容量が大きく減ってしまうというデメリットは避けられません。
容量を少しでも多くしたい場合は、オリコンサイズのハードタイプの保冷ボックスにする事で、高性能で容量もある程度保持する事が可能になります。
↑オリコンサイズの保冷ボックス(ハードタイプ)※折りたたみも可能
また、単体のハードタイプにするメリットとして「作業負担の軽減」もあります。
例えば、内容物の重量が重い場合、オリコンとハードタイプのボックスで以下のような違いが出ます。
オリコン等の樹脂容器 = 持つ部分が指を引っ掛ける程度のため指への負担が大きくなる
ハードタイプのボックス = 通常ベルトの持ち手を付けるので、手のひらで持つイメージとなり負担の軽減に
※重さだけでなく、使用時の持ち上げ高さや移動の仕方によっても細かい部分(ボックスの持ち手の位置等)の違いで作業性や体への負担が変わりますので、そこら辺も加味して設計します。
オリコン内袋はご要望に応じたカスタムも可能
オリコンの内袋はお客様の使用状況に合わせて柔軟にカスタマイズいたします。
使用を想定しているオリコンの寸法や、内容物の種類(冷蔵品、冷凍品など)に応じてテストも実施しますので、導入検討にあたって試験データが必要な場合は、ぜひ一度ご相談ください。
※担当者様が立ち会いの元での試験実施も可能。
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通常のオリコンに蓄冷剤を入れるとどうなるか
内袋を使用せずに蓄冷剤を入れても、ある程度保冷できるのでは?
という疑問もあるかもしれませんが、かなり難しいでしょう。
断熱材が入っていないため各面からの熱の侵入量も多いほか、オリコンは折りたたみができる分、隙間も生じます。
蓄冷剤を入れたとしても保冷を維持できず、食品等であれば傷めてしまう原因になり得ます。
電気によって常に冷却される冷蔵庫ですら、少しでも隙間が空いていると、内部温度が大幅に上昇するわけです。
時間と共に保冷機能が低下し続ける蓄冷剤では、隙間だらけのオリコンに使ったところで大した保冷効果は期待できないことが分かるかと思います。
知っておくべき保冷の知識【蓄冷剤は冷気を出しているわけじゃない?】
先ほど、蓄冷時のことを”時間と共に保冷機能が低下し続ける”と書いたことに関する補足です。
仮にオリコン等容器で蓄冷剤を中身の上に乗せただけでは、蓄冷剤と接触している部分だけ冷えますが、それ以外にはあまり冷えません
と言うのも、実は蓄冷剤というのは冷気を出すのではなく、周りの熱を吸収して溶けていくものだからです。
接している部位への伝熱で多少なりとも冷やすことになりますが、容器は全6面で外からの熱の侵入があります。
そのため、容器に断熱性が無ければ外の温度が各面からダイレクトに伝わってしまうのです。
蓄冷剤の置いてある上面は熱が入ってきても蓄冷剤で多少打ち消しあいますが、それ以外の面、特に底の商品は上からの伝熱もほとんどなく、底からの熱で一番温度が上がりやすくなります。
もちろん、BOXに断熱性があれば、各面への熱の侵入が抑えられる分中身の温度上昇は遅くなりますが、そもそも断熱とは「熱を完全に遮断でなく抑えるもの」なので、侵入熱は少なくなりはしても入ってきます。
入ってくる熱に相当する冷材(蓄冷剤やドライアイス)で必要な時間を保冷します。
その時に断熱性が高いほど侵入熱が少なくなり冷材を減らす事が出来るということです。
蓄冷剤はドライアイスの代わりになる?ならない?
昨今、様々な要因でドライアイスの供給難になることがあります。
供給不安への対応策だけでなく、使うと消えてしまうドライアイスに対するコスト削減での対応策を望まれるお客様が増えております。
一部の蓄冷剤メーカーさんはドライアイスの代わりに冷凍用の蓄冷剤を進めることが多々ありますが、実は、単純にドライアイスの代わりにと言うわけにはいきません。
その理由として、ドライアイスは-78℃の塊で接触による伝熱だけでなく冷気も出している一方、蓄冷剤はそこまで温度が低くなく、しかも冷気は出さないという違いがあるからです。
また、6面から入る侵入熱に対する熱量でみてもドライアイスの3倍の重量が必要になり(ドライアイス1㎏での運用なら冷凍蓄冷剤は3㎏)、冷気と言う点でも単純に3倍ではうまくいかない場合も多々あります。
そのため、用途・目的・時間等必要な要求に対し、蓄冷剤を使う場合はボックスの断熱性能だけでなく蓄冷剤の配置等を含めたトータルで考えた保冷ボックスが必要になってきます。
弊社では、このようなドライアイスを使わずに冷凍蓄冷剤で対応するボックスや、蓄熱剤を用いた医薬品用途の2℃~8℃保冷、15℃~25℃保冷のような特殊温度帯のボックスも多く開発しお客様にご利用頂いておりますので、ドライアイスの代替案で悩まれている場合はお力になれるかと思います。