食品輸送において、冷蔵車や冷凍車を使った温度管理は一般的になっています。
しかし、実際の現場では「冷蔵車で運んだから安心」とは言い切れません。
意外と見落とされやすいのが、冷蔵車から商品を降ろした後の時間です。
たとえば、店舗への納品時、荷捌き場での一時待機、検品待ち、バックヤードでの仮置き、冷蔵庫に入れるまでの数十分。
このわずかな時間でも、外気温や作業環境によっては商品の温度が上がってしまうことがあります。
特に夏場や、荷物量が多い時間帯、店舗側の受け入れ準備が整っていない場面では、冷蔵車の外に出た後の温度管理が配送品質を左右することがあります。
今回は、冷蔵車から降ろした後に起きやすい温度上昇の原因と、荷捌き場・バックヤードでできる保冷対策について解説します。
冷蔵車の中だけ温度管理しても不十分な理由
冷蔵車や冷凍車は、輸送中の商品温度を守るために非常に重要です。
しかし、食品が消費者や店舗に届くまでの流れを考えると、温度管理が必要なのは車内だけではありません。
食品は、以下のような流れで移動します。
・倉庫や工場での出荷準備
・仕分け作業
・車両への積み込み
・冷蔵車、冷凍車での輸送
・納品先での荷降ろし
・荷捌き場での検品待ち
・バックヤードでの一時保管
・冷蔵庫、冷凍庫への格納
この中で、冷蔵車の中だけが適切に管理されていても、荷降ろし後の工程で温度が上がってしまえば、品質トラブルにつながる可能性があります。
特に問題になりやすいのが、納品先に到着してから冷蔵庫・冷凍庫へ入るまでの時間です。
現場では、次のようなことが起こります。
・納品が重なり、検品まで待ち時間が発生する
・店舗スタッフがすぐに対応できない
・バックヤードの冷蔵庫がいっぱいで一時的に外へ置く
・荷捌き場が屋外や半屋外になっている
・夏場の直射日光や熱気の影響を受ける
・一度にすべての商品を格納できず、順番待ちになる
このような場面では、商品が冷蔵車から降ろされた後、常温環境にさらされる時間が発生します。
荷捌き場・バックヤードで温度が上がりやすい理由
1. 外気温の影響を受けやすい
荷捌き場は、屋外や半屋外に設けられていることがあります。
屋根があっても、外気温の影響を受けやすい場所では、夏場に周囲の温度が大きく上がります。
特に、コンクリートやアスファルトの照り返しがある場所では、体感以上に熱がこもることがあります。
冷蔵車の中で適切に冷やされていた商品でも、荷捌き場に置かれた瞬間から外気の影響を受け始めます。
2. 検品待ちの時間が発生する
店舗納品では、商品を降ろしてすぐに冷蔵庫へ入れられるとは限りません。
納品伝票の確認、数量チェック、商品の検品、他社便との重なりなどにより、荷物が一時的に置かれることがあります。
数分で済む場合もありますが、繁忙時間帯や人手不足の現場では、想定より長く待機することもあります。
この検品待ちの時間が、温度上昇の原因になることがあります。
3. バックヤードの保管環境が一定ではない
店舗のバックヤードは、必ずしも冷蔵環境とは限りません。
作業スペース、通路、仮置き場、冷蔵庫前のスペースなど、商品が一時的に置かれる場所はさまざまです。
また、バックヤードは人の出入りが多く、扉の開閉や作業によって温度が変化しやすい場所でもあります。
冷蔵庫に入る前の数十分であっても、商品によっては品質への影響を考える必要があります。
4. パレットやカゴ車単位で一時放置される
食品配送では、商品がパレットやカゴ車に積まれた状態で納品されることがあります。
この場合、荷物全体がすぐに冷蔵庫へ入らず、パレット単位・カゴ車単位で一時的に置かれることがあります。
数量が多いほど、格納までの時間も長くなりやすくなります。
また、積み重なった商品の外側と内側で温度差が出ることもあります。
外側の商品は外気の影響を受けやすく、内側の商品は冷気が残りやすい一方で、温度ムラが見えにくくなります。
温度上昇が起きると何が問題になるのか
荷降ろし後の温度上昇は、すぐに目に見えるとは限りません。
しかし、食品配送では以下のような問題につながる可能性があります。
・商品の表面に結露が発生する
・冷凍品が一部やわらかくなる
・冷蔵品の品質が不安定になる
・外装が濡れ、印字やラベルが傷む
・店舗側から品質管理を指摘される
・消費者からのクレームにつながる
・再冷却しても品質が戻らない場合がある
特に冷凍品の場合、一度温度が上がってしまうと、再び冷凍しても元の品質に戻らないことがあります。
冷蔵品でも、温度上昇と結露が繰り返されることで、商品の見た目や包装状態に影響が出ることがあります。
つまり、荷捌き場やバックヤードでの温度上昇は「少し置いただけ」の問題ではなく、配送品質全体に関わるリスクです。
荷降ろし後の温度上昇を防ぐための対策
1. パレットカバーで一時保冷する
パレット単位で納品する場合は、保冷用のパレットカバーを活用する方法があります。
パレットカバーは、商品全体を覆うことで、外気や直射日光の影響を抑えやすくします。
冷蔵車から降ろした後、検品や格納までの間に一時的に常温環境へ置かれる場合、カバーがあることで温度上昇を緩やかにできます。
シーエスエスでは、冷蔵車での配送後、店舗等に到着してから一時的に常温環境に放置される商品の温度上昇を抑える用途として、パレットカバーを紹介しています。断熱厚も目的に応じて変えることができます。
2. カゴ車用カバーで納品単位ごと保冷する
カゴ車での配送や店舗納品では、カゴ車用カバーも有効です。
商品をカゴ車に積んだまま一時保冷できるため、荷降ろし後すぐにすべての商品を冷蔵庫へ入れられない場合でも、温度上昇のリスクを抑えやすくなります。
カゴ車用カバーは、配送先での待機時間が発生しやすい現場や、複数店舗へ順番に納品するルート配送とも相性があります。
シーエスエスでは、簡易的な使用から長時間の使用まで、用途に応じたカゴ車用カバーの製作に対応しています。
3. 納品先の作業時間を想定して保冷設計する
保冷対策を考える際は、輸送時間だけでなく、納品先での作業時間も含めて考える必要があります。
たとえば、輸送時間が1時間でも、納品先で30分以上待機する可能性があるなら、その時間も含めて保冷設計を検討するべきです。
確認したいポイントは以下です。
・冷蔵車から降ろしてから冷蔵庫に入るまで何分か
・検品待ちはどのくらい発生するか
・荷捌き場は屋内か、屋外か、半屋外か
・夏場の最高気温を想定しているか
・直射日光や照り返しを受ける場所か
・パレット単位か、カゴ車単位か、箱単位か
・納品先ごとに作業条件が違うか
現場によっては、配送中よりも納品後の一時待機の方が温度上昇リスクが高い場合もあります。
4. 開閉回数を減らす
納品後に商品の確認を行う際、箱や保冷容器を何度も開け閉めすると、内部の冷気が逃げやすくなります。
検品作業は必要ですが、開閉回数が多いほど温度変化は起きやすくなります。
そのため、現場では以下のような工夫が考えられます。
・検品しやすいラベル位置にする
・商品リストを外側から確認できるようにする
・納品先ごとに商品を分けておく
・開封しなくても中身が分かる管理方法にする
・一度開けたらすぐに閉じるルールを徹底する
保冷容器やカバーの性能だけでなく、作業導線や確認方法を見直すことも温度上昇対策につながります。
5. 温度ロガーで荷降ろし後の変化を見る
温度上昇は、現場の感覚だけでは分かりにくい場合があります。
「そんなに長く置いていないはず」
「冷蔵車で運んでいるから問題ないはず」
「バックヤードだから大丈夫だと思っていた」
このように考えていても、実際に温度を記録してみると、荷降ろし後に急激な温度変化が起きていることがあります。
温度ロガーを使えば、輸送中だけでなく、納品後の温度推移も確認できます。
どのタイミングで温度が上がっているのかを把握できれば、対策すべき場所が見えやすくなります。
たとえば、問題が輸送中ではなく、荷捌き場での待機時間にあると分かれば、パレットカバーやカゴ車カバー、納品導線の見直しなど、より具体的な対策を検討できます。
現場別に見る保冷対策の考え方
食品工場から店舗への納品
食品工場からスーパー、飲食店、直営店などへ納品する場合、店舗側の受け入れ状況によって待機時間が発生することがあります。
この場合は、パレットやカゴ車単位で一時保冷できるカバーが有効です。
納品先が複数ある場合は、最後の納品先まで温度を守る必要があるため、ルート全体での保冷設計が重要になります。
セントラルキッチンから店舗への配送
セントラルキッチンから各店舗へ食材や惣菜を配送する場合、短距離であっても温度管理が必要です。
短距離配送では「すぐ届くから大丈夫」と考えがちですが、実際には積み込み、移動、荷降ろし、検品、格納までの合計時間で考える必要があります。
配送時間そのものは短くても、納品先での待機時間が長ければ、温度上昇対策が必要になります。
スーパー・量販店への納品
スーパーや量販店では、納品量が多く、複数の配送業者が同じ時間帯に集中することがあります。
そのため、荷捌き場での待機や検品順番待ちが発生しやすい現場です。
このような場合は、商品を一時的に外気から守るカバーや、パレット単位での保冷対策が有効です。
生鮮食品・冷凍食品の店舗配送
生鮮食品や冷凍食品は、温度変化による品質影響が出やすい商品です。
冷凍品では、表面が少しやわらかくなっただけでも、店舗側や消費者に不安を与える場合があります。
生鮮食品では、結露や包装の濡れ、見た目の変化が問題になることもあります。
こうした商品では、荷降ろし後の短時間でも保冷を切らさない工夫が重要です。
保冷カバー・保冷容器を選ぶときのチェックポイント
荷降ろし後の温度上昇対策として保冷カバーや保冷容器を選ぶ場合、以下の点を確認しておくとよいでしょう。
・どのくらいの時間、一時保冷したいか
・冷蔵品か、冷凍品か、チルド品か
・パレット単位か、カゴ車単位か、箱単位か
・荷捌き場は屋内か屋外か
・夏場の外気温を想定しているか
・直射日光を受ける可能性があるか
・作業者が一人で扱える重さか
・開け閉めしやすい構造か
・使用後の保管場所はあるか
・繰り返し使う前提か
・洗浄やメンテナンスはしやすいか
保冷性能を高めることはもちろん大切ですが、現場で使いやすいことも同じくらい重要です。
カバーの着脱に時間がかかる、重すぎる、畳みにくい、置き場に困るといった問題があると、現場で使われなくなってしまう可能性があります。
保冷対策は、性能と作業性の両方を考えて設計する必要があります。
「冷蔵車で運んでいるのにクレームが出る」場合は、荷降ろし後を確認する
食品配送の現場では、冷蔵車や冷凍車を使っているにもかかわらず、品質クレームが発生することがあります。
その場合、原因は必ずしも輸送中だけにあるとは限りません。
以下のような場合は、荷降ろし後の工程を確認してみることが大切です。
・納品先で商品がしばらく置かれている
・夏場だけクレームが増える
・特定の店舗や納品先で問題が起きる
・商品外装の結露や濡れが目立つ
・冷蔵車内の温度記録には問題がない
・納品後の保管場所が店舗ごとに違う
冷蔵車内の温度が適切でも、納品後の数十分で温度が上がっている場合があります。
温度管理の問題を考えるときは、出荷から納品完了までの流れを一連の工程として見ることが重要です。
温度管理は「冷蔵車を降ろした後」まで考える
食品配送において、冷蔵車や冷凍車は重要な温度管理手段です。
しかし、商品が冷蔵車の中にある時間だけを見ていては、実際の温度上昇リスクを見落としてしまうことがあります。
特に、荷捌き場での検品待ち、バックヤードでの仮置き、冷蔵庫へ入るまでの待機時間は、温度管理の盲点になりやすい部分です。
冷蔵車から降ろした後の温度上昇を防ぐためには、以下のような対策が有効です。
・パレットカバーで一時保冷する
・カゴ車用カバーで納品単位ごと保冷する
・納品先での待機時間を想定して設計する
・開閉回数を減らす
・温度ロガーで実際の温度変化を確認する
・現場で使いやすい仕様にする
「冷蔵車で運んでいるのに、なぜか品質トラブルが起きる」
「店舗納品後の待機時間が気になっている」
「パレットやカゴ車単位で、一時的に保冷できる方法を探している」
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